女性内科
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女性内科について
性差医療とは
性差医療・医学とは、生殖器系のみならず男女共通の臓器に起こる疾患も含めて、疾患の背景にある性差(男女差)に注目し診断、治療、予防措置へ反映するというものです。病態によっては、男女比が圧倒的にどちらかに傾いていたり、発症率はほぼ同じでも男女間で臨床的に差があったりするものもあります。
欧米でも性差医学の臨床・研究施設が設立され、医学教育への導入など先進的な取り組みがされています。我が国においても2001年に我が国初の女性専用外来が開設されてから、性差医学に基づいた「女性専門外来」という新しいスタイルの医療が全国で急速に普及しました。
女性ホルモン(エストロゲン)について
女性ホルモンであるエストロゲンは、女性のライフサイクルにおいて最も重要なホルモンです。エストロゲンは生殖に関わるだけではなく、エストロゲンの分泌が低下・消失する閉経後は更年期障害、骨粗しょう症、脂質異常症、動脈硬化症といった様々な疾病が増加してきます。閉経後女性の血中エストラジオール値は男性より低いことが知られています。
また、卵巣は閉経前後で形態的および内分泌的に大きく変化します。卵巣重量は20〜40歳代前半までは約14グラムですが、50歳代以後では約1/7にまで減少します。また、エストロゲン産生能も低下し、生物学的活性の高い血中エストラジオール濃度は55歳以後になると著名に低下し、むしろ同年代の男性のエストロゲン値よりも低値になることが知られています。男性の血中エストロゲン値は年齢と共に徐々に低下するのに対し、女性は閉経を境に急激に減少します。この急激な内分泌環境の変化が更年期症状を中心とした様々な疾患の発症に結びついていると考えられています。
このように、女性の体調は、生涯を通じて女性ホルモン(エストロゲン)の分泌状態に大きく左右され、そのリズムやバランスの乱れで女性特有の色々な不調を感じやすくなります。
当クリニックでは、同じ症状でも女性と男性では診断や治療法に大きな違いがあるという考えを基盤とした「性差医療」を実践しています。
膀胱炎
膀胱炎は、女性がなりやすい病気で、一度発症してしまうと、繰り返すことが多い病気です。体の抵抗力が落ちている時に、尿道口から大腸菌などの細菌が膀胱の中に入り、炎症を起こします。一度なったことのある人は再発しないよう、その他の方は予防をしっかりとしておくことが大切です。
女性が膀胱炎になりやすい原因としては、体の構造の違いによるものが大きく、男性は尿道が長く15㎝程度あるのに対して女性は3~5㎝しかありません。また、女性の場合には尿道と肛門が近いということもあります。軽度の膀胱炎であればこまめな水分補給でも治すことができますが、重度になってしまった場合にはきちんと医師の診察を受ける必要があります。
膀胱炎の症状
- 何度もトイレに行きたくなる
- 排尿後に痛みがある
- 残尿感
膀胱炎の初期症状としてはトイレの回数が増えます。しかし、排尿してもすっきりしなく、残尿感が残ります。尿が白く濁ったり、時には血が混じる血尿が出たりすることもあります。また、排尿の最後の方や、排尿後に痛みを伴ってきます。膀胱炎が更に悪化すると、腎盂腎炎や腎臓への感染が起こる場合もあります。
膀胱炎の予防
抵抗力が弱まっているときには膀胱炎になりやすい傾向がありますので、注意する必要があります。そのため、しっかりと睡眠を取り、ストレスを溜めないように心掛けましょう。
また、トイレを我慢したり不潔にしていると膀胱炎になりやすいといわれています。ストレスが溜まっているときやダイエット中、生理中なども膀胱炎になりやすいので注意が必要です。
膀胱炎は繰り返すことの多い病気ですので、辛い思いを繰り返さないためにも、水分を多く摂り、清潔にし、体力を落とさないように気を付け、しっかり予防しましょう。
高血圧症
高血圧症とは、血圧が一定の値より高く、放置すると循環器疾患を発症させる危険のある状態をいいます。高血圧の状態が続くと、全身の血管に高い圧が継続してかかるため、血管の壁が厚くなり、動脈瘤ができやすくなります。これが動脈硬化で、さまざまな病気の原因になります。
動脈硬化よる病気の代表的なものとして、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、心疾患(狭心症・心筋梗塞・心不全)、腎疾患(高血圧性腎症)が挙げられます。軽症の高血圧では症状が全く無いことが多く、血圧が高くなるに従って肩こり、頭痛、めまいなどの症状が出現してきます。つまり、血圧が高いことによる自覚症状が少ないために高血圧を放置し、その間に動脈硬化による臓器障害がどんどん進行していき、ついには命に関わるような心筋梗塞、脳卒中、腎不全などの合併症を引き起こして、はじめてことの重大さに気づくということがまれではありません。高血圧がサイレント・キラー(静かなる殺し屋)と言われるゆえんです。
高血圧症になりやすい人とは
高血圧症になりやすい危険因子として、遺伝、肥満、耐糖能異常(糖尿病予備群)、ストレス、喫煙、塩分の多い食事、飲酒の習慣などがあり、その危険因子を多く持っている人ほど、高血圧症になりやすいといえます。
- 塩分を多く含むもの(濃い味つけ)や脂っこいもの、甘いものが好き
- 野菜や果物をあまり食べない
- アルコールの飲み過ぎ
- 運動不足
- タバコを吸う
- ストレスが多い
- 血糖値が高いといわれたことがある
このような人たちは高血圧症になりやすい傾向がありますので、生活習慣を見直してみましょう。
特に日本人は、他の国に比べ塩分の摂取量が多いので、注意が必要です。
高血圧症の治療
高血圧の治療には、食事療法・運動療法などの非薬物療法(生活習慣の修正)と薬物療法があります。
食事療法
食事療法では、食塩の制限、カロリーの制限、脂質の制限が基本になります。日本人の平均的な食塩摂取量は12~13g/日と言われていますが、その半分程度(7g/日以下)を目標にします。また、少量の飲酒は血管を広げ、ストレスを解消するなどの効果がありますが、飲み過ぎは血圧を上昇させます。たばこは血管を収縮させ血圧を上昇させるので、禁煙が必要です。
運動療法
運動することにより血圧が下がることが証明されています。しかし、どんな運動でも良いというわけではありません。歩行、水泳、サイクリングなど大きな骨格筋を使う全身運動が適していて、軽い運動を持続して行うことが大切です。しかし、高血圧の程度や合併症によっては自己流の運動は危険ですので、まずは専門医にご相談ください。
非薬物療法(生活習慣の修正)
軽症の高血圧で、他に臓器障害が無い場合は、非薬物療法を1~3ヶ月継続し、血圧が正常化しない場合は降圧薬を開始します。
脂質異常症
脂質異常症とは、血液中の脂質が多過ぎる病気のことです。血中脂質が異常に増加してもほとんどの場合において自覚症状がないのが特徴です。脂質異常症(高脂血症)の状態が続くと、動脈の内壁にコレステロールが沈着してきます。このため動脈の弾力性が減少して硬くなり、動脈の内腔が狭くなり血液が通りにくくなるという障害がでてきます。この状態を動脈硬化といいます。
動脈硬化が進み血管が詰まって血液が流れなくなると、心臓の筋肉が機能しなくなる心筋梗塞を引き起こす場合もあります。
脂質異常症(高脂血症)は一般に血中の総コレステロール値が220mg/dl似上の場合を指します。 (ただし、閉経後の女性は同年代の男性に比べて20mg/dl高い240mg/dl以上)
脂質異常症の種類
血液中にある4種類の脂質のうち、多過ぎると問題なのは、コレステロールと中性脂肪です。脂質異常症には、下記の3タイプに分類できます。
LDL(悪玉)コレステロールが多いタイプ(高LDLコレステロール血症)
血液中にLDLコレステロールが140mg/dl_以上ある場合です。最も危険度が重要視されます。
HDL(善玉)コレステロールが低いタイプ(低HDLコレステロール血症)
血液中にHDLコレステロールが(40mg/dl)未満の場合です。動脈硬化が促進されやすくなります。
トリグリセライド(中性脂肪)が多いタイプ(高トリグリセライド血症)
血液中にトリグリセライドが150mg/dl以上ある場合です。トリグリセライド(中性脂肪)が多いと、メタボリックシンドロームの要因になります。
どのタイプかによって治療法も違いますので、きちんと医療機関を受診することが大切です。
脂質異常症になりやすい人
下記のような人は脂質異常症になりやすいと言われています。
- 家族に脂質異常症や動脈硬化症の人がいる
- 肥満傾向である
- 高血圧または境界型高血圧である
- 運動不足
- アルコールの飲み過ぎ
- 糖尿病である、あるいは血糖値が高いといわれたことがある
- 痛風がある
- 脂っこいもの、甘いものが好き
- 女性で、閉経している
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因には、下記のようなものが挙げられます。
- 遺伝的な要因
- 糖尿病などの脂質異常症になりやすい病気にかかっている
- 食事や生活習慣の乱れ、喫煙や運動不足、ストレス過多などの生活環境によるもの
特に食事や生活習慣によるものが大きいとされ、肉、卵、バターなど、動物性食品の脂肪の中に割と多く含まれる飽和脂肪酸やコレステ口ールは、血中の総コレステロール値を高くする働きがあります。逆に、魚や植物性の油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸は、血中の総コレステロールの上昇を抑える働きがあります。
糖尿病
糖尿病とは、血液中で糖分つまり血糖の割合が高くなる病気です。糖尿病は、自覚症状があまり無く、治療を受けていない人も多いと言われています。しかし症状が出なくても、糖尿病は徐々に進行し、恐ろしい合併症を引き起こす場合があります。しかし、糖尿病は、初期ならばある程度は食事や運動などでコントロールできますが、決して「治ること」はありません。早期発見のために年1回の定期検査などを受けるようにしましょう。
糖尿病の新しい診断基準
糖尿病型 | (正常) | |
---|---|---|
早朝空腹時血糖値 | 126mg/dl以上 | (110mg/dl以下) |
75グラムのブドウ糖を飲み2時間後の血糖 | 200mg/dl以上 | (140mg/dl以下) |
随時血糖 | 200mg/dl以上 | (140mg/dl以下) |
ヘモグロビンA1c(HbA1c) | 6.2%以上 | (5.6%以下) |
上記のいずれかに該当すると糖尿病型と診断されます。
糖尿病の診断基準が改定され、今までは補助的な位置づけであったHbA1cを、糖尿病型の判定基準に取り入れました。
糖尿病の原因
糖尿病の原因には、下記のようなものが考えられます。
- 食べ過ぎ、肥満である
- 運動不足
- ストレスが溜まっている
- 食事時間が不規則である
- 薬剤による作用(血圧降下剤や副腎皮質ホルモン剤など)
- 家族や親戚に糖尿病の人がいる
- 妊娠中に血糖値が高いと言われたことがある
特に、肥満・運動不足・ストレスは、インスリンの働きを低下させる3大要素ですので、注意しましょう。
糖尿病の治療
糖尿病の治療は、「食事療法」、「運動療法」、「薬物療法」の3つが基本となります。この中で一番重要となるのが、食事療法です。
食事療法
糖尿病と診断されたら、身体活動量等に合わせた食事をする必要があります。食べてはいけないものはありませんが、自分にあった分量の食事で、必要とするすべての栄養素をとるように工夫します。
当クリニックでは、月に1度、管理栄養士による栄養相談・栄養指導を行っております。
運動療法
運動療法も、食事療法と同じぐらい重要なものです。運動は、ブドウ糖の消費を増やし、インスリンの働きをよくするなど、血糖値を下げるのには効果的です。しかし、糖尿病の場合、急に激しい運動をしてはいけないし、運動量が足りなすぎても効果がないので無理のない程度に徐々に身体を慣らしていくようにしましょう。
薬物療法
薬物治療は、インスリン療法、経口血糖降下薬による治療の2つになります。経口血糖降下薬は、飲み薬によって血糖値を下げる方法です。
インスリン療法が必要な場合には、信頼できる医療機関を紹介致します。
骨粗鬆症
骨粗しょう症は、骨のカルシウム量(骨量)が減って骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。がんや脳卒中、心筋梗塞のようにそれ自体が生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗しょう症による骨折から、要介護状態になる人は少なくありません。
骨密度は20歳前後でピークに達します。その後、40歳代半ばまではほぼ一定ですが、50歳前後から急速に低下していきます。骨をつくるのに必要なカルシウムは、腸から吸収されて骨に取り込まれますが、年を取ると腸からのカルシウム吸収が悪くなってしまうのも骨密度低下の原因の1つです。
多くの人は加齢と共に骨密度が低下してしまいますが、バランスのとれた食事や適度な運動を心がけることにより、骨密度の低下を防いだり、低下の速度を遅らせたりすることができます。
骨粗しょう症は女性に多い病気です
骨粗しょう症は女性に多い病気です。女性ホルモンは、骨を強くしたり、骨を守ったりする役目をしていますが、閉経すると女性ホルモンが急に減り、骨を守る力がなくなってしまいます。そのため、骨を壊す速度が増し、骨の細胞にも悪い影響が出てしまいます。この女性ホルモンの影響から、40代後半から50代の女性が急に骨がもろくなるようです。
当クリニックでは、40代ごろから骨量をチェックして対策をすることで、将来の骨折のリスクを減らしていくことをお勧めしています。骨密度は腕で簡単に測定できます。もし問題があれば、全身の骨密度検査ができる近隣施設に、すぐにお願いできる体制も整えております。気になる方は、お気軽にご相談ください。
骨粗しょう症の治療と予防
加齢に伴う骨粗しょう症の治療に対しては、カルシウムの吸収を促す薬や骨密度を増やす薬などが用いられます。
女性の場合は、閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が低下し、同年代の男性に比べて骨密度が低くなります。このように女性ホルモンの減少が主な原因となっている骨粗しょう症に対しては、女性ホルモンやそれに似た作用のある薬、骨密度を増やす薬などが用いられます。
また、更年期のダイエットは、骨密度が低下に輪をかけて骨にダメージを与えます。この時期は、特にカルシウムを多く取り、運動をして、骨を強くする意識を高めることが大事です。
若い人でも、激しい運動によって生理不順になることがあります。これも、閉経後と同じ状態になりますので、骨に与えるダメージも大きくなります。若いからといって、すごく重いものを持ったり、腰に負担をかけたりするような動きは、骨折に繋がる危険性があります。
遺伝もありますが、カルシウム・ビタミンDの摂取、日光浴、適度な運動を心掛けましょう。カルシウムの吸収にはビタミンD、ビタミンK、マグネシウムも必要になり、これらが不足するとうまく吸収できません。また、過度のアルコールは腸の粘膜を荒らしてしまい、カルシウムを吸収しにくくすると考えられています。タバコは、吸わない人より喫煙者の方が骨密度が低くなることがわかっています。
女性の方であれば、女性ホルモンを補うホルモン補充療法も効果的です。ホルモンを補充することで、柔軟性を保ちながら骨量の減少をおさえ、骨折頻度を抑制することが期待できます。
予防接種
当クリニックでは、各種予防接種を行っています。予約制となりますので、事前にご連絡いただくか、ご来院の際にご予約ください。
- インフルエンザワクチン
- 風しん・麻しん混合ワクチン
- おたふくかぜワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
- 子宮頸がん予防ワクチン
その他、ご希望がございましたら、お気軽にご相談ください。
インフルエンザワクチン
当クリニックでは、インフルエンザ予防接種を実施しております。
ご希望の方は、事前にご予約の上、ご来院ください。
インフルエンザワクチン予防接種料金
インフルエンザ(一般) | ¥ 5,350(税込) |
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※妊婦用もございます。
小平市助成制度
小平市では高齢者の方を対象に、助成による予防接種を行っています。
接種費用
65歳以上の方 | ¥ 2,500(税込) |
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65歳未満の任意接種の方 | ¥ 5,350(税込) |